|
バリアフリーはしばしば設計者に難題を突きつける。例えば庭先に設けるテラスと室内の境目の問題だ。屋外と屋内との間に段差がないということは、雨が浸入しやすいことを意味するからだ。
そこでお薦めがウッドデッキだ。すのこ状の目地から雨水がスムーズに下へと流れていく。目地の幅は、鉛筆が落ちない5ミリくらいが適当であろう。フラットレールのテラスサッシとシャッター雨戸を組み合わせれば台風時にも安心な居間とデッキをつなぐバリアフリーが実現する。
居間や食堂から段差なくつながったウッドデッキはホームパティーなどでも活躍してくれる。焼き魚やバーベキューは外で、サラダや下ごしらえは内でと、つながりの良さが魅力的な空間を醸し出す。
特に高齢になって足が不自由になっても気軽に外に出られることは豊かな生活を送るのに有効だ。盆栽や花に水をやったり、ペットと戯れたり、せんべいを焼いたり、足のつめを切ったりなどと素足のまま出られる屋外は貴重だ。
将来、そのデッキからスロープを設ければ車いすで庭から街へ出掛けるのも容易となる。車いすを洗うのにもウッドデッキだと便利だ。
実務者会員 加藤知徳 (加藤建築事務所)
|