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住宅によっては、生活の場を2階や3階に分けて設けるが、この上下階の移動(縦の動線)には階段が使われる。
高齢になり、階段の昇降が思うようにできなくなると、2階は生活の場ではなくなってしまい、ほとんど1階で過ごすようになる例を数多く見てきた。住み慣れた生活の場を使えず、不自由な生活を強いられる結果となっている。
縦の動線に最も有効なのはホームエレベーターだ。最近は手ごろな価格の製品も出回りはじめ、以前より随分と手近な存在となっている。上下の移動が楽にできるので、生活の場を最大限使え、生活の質を従来通り維持することも可能である。
設置スペースはたてに通過できる位置に各階約3.3平方メートルの広さが必要になる。物の移動も楽にでき、車いすとその介護の人も同時に乗れる。必要になるまでは空きスペースをクローゼットなどとして活用することもできる。その場合は設計段階で意向を伝えておくことが重要だ。
本体価格は停止位置2カ所で260万円前後。利用者の要望に対応しながら新製品が売り出されている。心していた「備え」に配慮したものに出会うために、新しい情報に接することも大切なことである。
実務者会員 宮島敦子(宮島住環境デザイン室)
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