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「収納スペースはできるだけ多く確保して欲しい」。住宅の設計をするときによく出る要望である。収納を考えるとき大切なことは何をどのくらい収納するか、その出し入れの頻度はどれくらいかを考えて計画することだ。
そんなとき役に立つのが断面図である。断面図からは平面図だけでは気がつかなかった空間が存在していることに気づかされる。床下、階段下、壁の厚み、屋根裏などだ。特に屋根裏はネズミのすみかにしているだけではもったいない大きな空間が残されている。幸い今年から法律が改正され、屋根裏収納について直下階の床面積の1/2まで認められるようになった。実に以前の4倍である。普通の家の場合、納戸2部屋分くらいに相当する。
ただし物の出し入れには不便であり、収納する物は限られる。1年に1度使うか使わない物、一生使わないかもしれないが捨てられない思い出の品などである。高齢になったとき、思い出の品が身近にたくさんあることは幸せなことである。
奥の深い屋根裏収納には外の見える小窓を設けたい。照明やコンセントもあれば便利だ。外の景色を楽しみながら昔の本を引っ張り出して、ゆったりした自分の時間を持つのも大人の楽しみであろう。
実務者会員 加藤知徳 (加藤建築事務所)
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