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住宅を新築・改築する際、様々な要素をクリアし、計画もまとまったころ、意外なバリアーが待ちかまえていることがある。「家相」である。当の本人は気にしていないのだが、親や親せきから思いがけずに変更の圧力がかかる。その結果、プランの変更を余儀無くされることもある。
私は家相を肯定している。なぜならば家相は理由があってできてきたからである。健康に配慮した家造りをしなさいということが家相の趣旨だ。建築家の立場から見るとうなずける内容も多く、家相というのは便法でその知恵を伝えようとしたと思われる。
例えば「鬼門(北東側45度の範囲)にある便所は大凶」だ。北東の角は日も当たらず、一年中で一番冷たい北風が吹く。昔であれば便槽の中から下半身にその風が当たっただろう。健康に良いはずがない。
この鬼門方向からの冷たい風から、家族の健康を守る現在の方法には暖房便座の使用や小型ですぐ暖まる暖房器具の設置などが考えられる。もちろん外気に接する壁には断熱材を入れ、できれば便所と廊下やほかの部屋との温度差を小さくすることも大切だ。
家相の趣旨を正しく理解し、問題を現代的な方法で解決することで快適な暮らしを実現できることも多い。
実務者会員 吉田誠治 (夢設計)
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