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リフォーム相談の中で「車いすで廊下の角が曲がれない」という悩みが意外と多い。廊下は家屋につきものと思われがちだが、実はなくてもかまわない。それがリビングアクセスという考えかただ。
部屋と部屋を廊下でつなぐのではなく、リビングから各部屋に直接アクセスするスタイルである。リビングダイニングを家の中心に設定し、左右にパブリックスペースとプライベートスペース(寝室や水周りなど)を配置する。
玄関は敷地によってレイアウトに工夫が必要だが、配置の仕方によっては、パブリックスペースに直接アクセスもできる。
リビングダイニングから風呂場やトイレなどの水廻りへのアクセスにはちょっと配慮が必要だ。出入りが直接見えるのは感心できない。ワンクッション置くためにアルコーブ(入込み部分)を造ると良い。この部分に棚を設置すれば日常品の整理にも役立つ。
現在の廊下のルーツは中廊下であり、明治時代の半ばに登場したという。役目はお手伝いさんの通路であり、家族のプライバシーの保護と言う説がある。それから100年余りが過ぎた。車いすが通りにくいなど高齢社会では弊害もある廊下。その有無を改めて論議し直すのも悪くないと思う。
実務者会員 徳永栄一 (フォルム設計企画一級建築士事務所)
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