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年を取り家の中を動き回るとき、思わぬ障害となるのがドアの取っ手だ。高齢期に握力が低下することを考えて部屋の扉に付ける取っ手はドアノブ(握り玉)を使わずにレバーハンドルの方が良い。この場合も袖口が引っ掛かりにくいようにハンドルの先端と扉の隙間を狭くできる形状のレバーハンドルが望ましい。引き戸についても開閉の容易な大型の引き手やバータイプの取っ手を取り付けて使いやすくしておくと良いだろう。
キッチンの戸棚の扉では、既製品でもつまむタイプではなく、つかみやすいバータイプの取っ手が使われるようになってきた。しかし見栄えを優先させて選んでいるようで袖口の引っ掛かりやすい形の取っ手が多いのが残念だ。造り付け収納の扉になると室内のなかで目立たないほうが良いからと、天井まである壁のような大きな建具に小さなつまみを付けて済ませている場合すらある。
日々の暮しのなかで収納部分の扉はできるだけ開閉しやすい方が良い。物の出し入れが簡単にできないと片付けもうまくいかず、部屋のなかに物が溢れてしまうことになる。せっかく設ける収納を充分に活用するには、収納扉の形状も使いやすい形の物を慎重に選んでほしい。
実務者会員 沼田恭子 (沼田恭子建築設計事務所)
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