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数少ない男性専用の生活用具の中に小便器がある。立ったままで用をたせるのがいかに便利であるかは男性にしか分からないであろう。
ところが、最近の住宅ではめっきり少なくなった。試しに週末にどっさり届くマンションや建売住宅のチラシを眺めてみると、洗面器や洋風便器の仕様は立派でも残念ながら小便器がついている物件は余り見かけない。
どうやら、生活の洋風化に伴い、洋便器が小便器を兼ねるものだと、多くの人は思い込んでいるようだ。また家が狭くて、初めから設置をあきらめるケースも目立つ。個人的には住まい作りに男性が要望を出さず、女性に任せてしまうことが少なくないのも、小便器が駆逐された大きな理由ではないかと思う。
だが年をとると前かがみや、そこから体を元に戻す動作が次第につらくなってくる。いちいち洋便器の便座のふたを上げて狙いを定めて排尿するよりも、直接小便器にアプローチする方がはるかに楽だ。
家を新築するときにトイレを少し広くし、洋便器と小便器を一緒にならべれば、用を足すときに楽な方を選べる。わずかなスペースと工夫で楽々排泄が可能になる。
実務者会員 佐伯博章 （地域総合設計）
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